斜角筋症候群の解説

いつもご閲覧ありがとうございます。
本日は斜角筋症候群です。

整体の臨床を行う上で、とても重要な疾患です。
是非ご参考になさってください。

斜角筋症候群について

斜角筋症候群について

斜角筋隙とは

斜角筋隙という部位がございます。
隙とは「Gap」のことで、
・腕神経叢
・鎖骨下動脈
が前斜角筋及び中斜角筋の筋間を通過する隙間を指します。
斜角間隙が何らかの原因で狭窄すると、腕神経叢と鎖骨下動脈が圧迫され、上肢の痺れを含む神経症状を引き起こす可能性が生じます。

臨床上の鑑別

頚椎椎間板ヘルニアなどに代表される頚部神経根障害との鑑別を要しますが、
さらにはそれ以下の末梢神経障害との鑑別も必須です。
斜角筋症候群以外
・胸郭出口症候群(過剰外転症候群、肋鎖症候群、頚肋症候群)
・円回内筋症候群
・肘部管症候群
・手根管症候群
などなど。
数多く存在する末梢神経障害の可能性を症状部位や軽減増悪要素などの問診事項からスクリーニングし、
上肢における愁訴領域が
・デルマトーム領域に従うもの
・末梢神経支配領域に従うもの
さらに、Myotome(筋力)、Dermatome(痛覚)、MSR(深部腱反射)を用いた神経学的鑑別を用いて、
その障害部位を特定していく必要があります。

そして同時に酷似した一見上肢の神経症状と捉えがちな
Myofacial Pain SyndromeMPS(筋筋膜痛症候群)
による反射性の関連痛との鑑別も必要となる場合がございます。

筋筋膜痛症候群とは

斜角筋症候群

筋筋膜痛症候群(MPS)は上肢領域に一見神経症状のような疼痛感が出現する場合があります。
MPSに関する代表的な書籍「Trigger Point ManualTravellSimons(1983)」で、著者は
「トリガーポイントは特有の関連痛や関連性の過敏、運動機能障害あるいは自律神経症状が生じる。原因となる筋は柔軟性と筋力が低下し、固有受容を混乱させる」
と定義しております。

上肢領域に関連痛を呈する可能性のある筋肉の代表格としては
・大胸筋
・小胸筋
・広背筋
・棘上筋
・棘下筋
がございます。

筋筋膜痛症候群の場合は、該当する筋肉の硬結部分を触診し圧迫を加えることで上肢への関連痛が出現もしくは増強する場合、また該当する筋肉の徒手筋力検査にて、筋肉の収縮時に関連痛が出現する場合などが予想されます。

斜角筋症候群へのアプローチ

斜角筋症候群と特定された場合の具体的なアプローチ方法として、斜角筋のストレッチや姿勢の改善などが紹介される機会が多いかと思います。
・なぜそこまで斜角筋が過剰な緊張状態に陥ったのか
・もしくはなぜそこまでの緊張状態にならなければならなかったのか
がとても大事でうs。

原因部位や障害高位を特定できたら、ストレートにそれを変化させようとするのではなく、

「なぜ?」と考えることで患者さんが発症に至るまでの経緯が見えてきます。

斜角筋症候群は対話力が大事

斜角筋症候群について

ここで必要になるのは高価な検査機器ではなく、情報を引き出す対話力です。

患者様ご自身が
・こんなことがあったんじゃない
・こんな負担をかけていないか
・患者さんは自分の身体について
よく感じて、自分なりの答えを持っているものです。

それを聞き出すことができれば、なるほど!!と、
それが原因で結果的に斜角筋に負担をかけたのかと解釈に至ることができると思います。

このステップを踏むことでその後の施術がより具体的なものとなります。
斜角筋へのアプローチだけでなく、斜角筋に負担をかけた真犯人へのアプローチができるわけです。

斜角筋症候群のまとめ

今回は斜角筋症候群について解説致しました。
日々の臨床の中で、とても多く直面する疾患だと思います。
的確な分析、明確なアプローチ、患者さんとの対話などを通じて
お困りの方が早期に改善できるように努めていきましょう。

斜角筋症候群を鑑別する際のテスト
アドソンテストの動画をIMICのyoutubeにアップロードしております。

是非ご参考になさってください。

IMIC学長 石川貴章